業者「ルフィの報道のお陰で闇バイトブームが来てて1日10人くらいバカが応募してくるw 」

ルフィ事件や銀座の時計店の強盗事件。多くの若者がいま闇バイトを通じて犯罪に手を染めている。「1か月で150万円」そんな甘い誘い文句の裏にあるものは？　
バンキシャ！は実態を探るため、闇バイトを募集する業者に接触。電話で話を聞きだすことに成功した。

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この日、バンキシャ！のもとにあるメッセージが届いた。

「オンラインバイトで4万円」

それは、高収入をうたうアルバイトの誘い。スマホを使って一日4万から6万円を稼げるというものだった。書かれていた連絡先にメッセージを送るとすぐに返信があった。

「公式アカウントを1つフォローするごとに200円がもらえます」

有名外国人アーティストの公式アカウントをフォローするだけで200円が支払われるという。指示された通りにフォローし、その証しとしてSNSの画面を撮影し、送った。すると30分後──。

記者
「来ましたね。本当に200円来ました！」

200円分の電子マネーが送られてきた。これは応募した人を信用させ、闇バイトに引きずりこむためのものだ。

業者
「いま暇ですか？　他の副業があります」

次に送られて来たのは、中国のサイトで通販商品を注文してほしいという依頼。代金はかからず、商品も届かないという。
通販サイトの販売個数を水増しする行為とみられ、こうした行為は多くの通販サイトで禁止されており、法律違反になる可能性もある。

バンキシャ！は、送られてきた200円を返金。架空取引はさまざまな犯罪に加担する行為だとして、やめるよう業者にうながした。すると──。

https://news.yahoo.co.jp/articles/11541eac8941ba7b131de160f60e0f54bf79263f

記者
「送ってから1時間、まったく返信がないです」

そしてその後、業者のアカウントも消えた。SNSで広がる闇バイトの募集。バンキシャ！はさらに取材を進めた。すると闇バイトの業者は次のように言ってきた。

業者
「1か月あれば150万円稼げます」
「ルフィの件で闇バイトを知らない方の応募が多くなりました」

闇バイトの求人とはどんなものなのか。バンキシャ！がSNSを調べてみると…。

記者
「高収入。資金調達と書かれています。月給100万から。全額、日払いになっています」

高収入や高額案件をうたい、多くの求人が投稿されていた。そのうちの１つにメッセージを送ってみた。

記者
「あ、返信がきてます。テレグラムでやり取りしたいとありますね」

指定されたのは「テレグラム」という通信アプリ。そこへまず、送られてきたのは…。

業者
「募集しているお仕事が“受け出し”になります」

“受け出し”とは、受け子と出し子のこと。特殊詐欺の実行犯を募集するものだった。

業者
「まず始めに、『かけ子』というグループが警察のふりをして、おじいさん、おばあさんの家にキャッシュカードを預かる電話をかけます。
『受け出し』がおじいさんおばあさんの家に行き、キャッシュカードを預かります。すぐに遠くのATMへ行き、現金をおろすだけの仕事になります」

さらに話を聞こうとすると、次のように言ってきた。

業者
「この面接フォーマットも埋めてほしいです」

所定のフォーマットに記入するよう指示された。住所や名前だけでなく、実家の住所や親の連絡先まで求められていた。応募した人が逃げられなくするよう、詳細な個人情報を求めていた。

ここで、日本テレビ報道局であると身分を明かし、詳しく話を聞けないかとメッセージを送った。すると、およそ1分後……。

記者
「あれ？　何もしてないのに消えた」

よく見ると、一言、「だる笑笑」とだけ返信され、その直後にメッセージと連絡先が消去されていた。

このテレグラムというアプリは、一方的にメッセージを消去する機能があり、過去の事件でも実行犯への指示に使われていた。

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なかなか実態を現さない闇バイト業者。バンキシャ！は直接取材を試みようと、別の業者に電話で話したいと持ちかけた。すると夜11時ごろ、電話が鳴った。

記者
「もしもし」

業者
「お疲れさまです」

記者
「すみません。お世話になります」

業者
「夜分遅くにお電話申しわけないです。お電話、大丈夫でしたか？」

記者
「はい、大丈夫です」

特殊詐欺の受け子の仕事を紹介するという。

業者
「ニュースでよく捕まっている受け子って言葉、聞いたことないでしょうか？」

記者
「あります」

業者
「それは、やり方が下手なんで全部捕まっているんです。自分たちの会社から逮捕者いないんで、その辺は安心してほしいです。1か月あれば150万円稼げますよ」

甘い言葉を口にする。しかし、業者が誘っているのは詐欺の実行犯。10年以下の懲役となる犯罪だ。 そして、3年前から闇バイトの募集をしているという業者は、その手口を自ら語り始めた。

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業者
「SNSの闇バイトに関連するアカウントを自分たち、1000個以上持っているんですよ」

記者
「1000個もあるんですか？」

業者
「あります。人材派遣業みたいな感じでやっているんです」

記者
「仕事は御社から別の場所を紹介される？」

業者
「自分たちの横のつながりで、仲のいい会社」

すると突然──。

業者
「いま、お話しした感じ、すごいしっかりされている方じゃないですか。
ちょっと仕事（闇バイト）で信用がついてきたら、もしよければ自分たちのオフィスに来てもらって（一緒に）働いてもらえればうれしいですね」

バンキシャ！に、自分たちの会社の正社員にならないかと持ち掛けてきた。

業者
「自分たちコンサル業って名目で会社を登記しているんで。自分たちの仕事週5なので、ただ熱が出たとかなら休みはOKです」

記者
「給料はいくらなんですか？」

業者
「固定給45万で、インセンティブがあって1人の紹介につき1週間10万円の報酬です。100％めくれないんで（バレないんで）、そのくらい自分たちの会社しっかりしているんで」

しきりにまっとうな会社だと強調するが、行われているのは明白な犯罪だ。次に業者が語り出したのは、あの事件の影響。驚きの現状が明かされた。

業者
「ルフィの件で闇バイトって言葉が世に広まったことがいいのか悪いのか、もともと闇バイトを知らない方の応募が多くなりました。
SNS業界の（闇バイト）ブームが来ている。（応募が）一日10人は来ます。自分たちも会社を大きくしなければいけないので、横浜とか大阪にも支店を置こうという話に」

そして、他の業者と同様、身分証などを送るよう指示してきた。後日、身分証を送りたくないと伝えると、また電話があった。ここで、取材で連絡したことを明かした。

記者
「わたくし日本テレビ報道局のもので、闇バイトについて取材しています」

業者
「はい」

記者
「詳しくお話を伺わせていただけないでしょうか」

業者
「録音されてたということですか？」

記者
「その通りです」

記者がそう言うと、電話は突然切れた。違法行為をやめるようバンキシャ！は連絡を続けたが、業者がふたたび電話に出ることはなかった。

（＊8月13日放送『真相報道バンキシャ！』より）